――「君は放課後インソムニア」は2019年より連載が開始されました。この物語を描かれるに至った構想や、丸太や伊咲といった登場人物たちがどのように生まれたかをお聞かせください。
次回作を構想する中で、「不眠症」「秘密基地」「海沿いの高校生」、といったキーワードがいくつかありました。以前から興味のあった能登を舞台に出来ないかと現地取材で訪れた七尾市がそれにぴったりで、しかも天体ドームのある高校を見つけて、もうここしかない、と決めました。「天文部」の要素もその天体ドームから生まれました。先にキャラクターが出来たのは伊咲です。最初は背が高かったのですが、ヴァネロペのイメージを元に膨らませて今の伊咲になりました。丸太は、メガネの主人公を描いたことなく、やってみたいと思っていたので今回登場させました。
――「君は放課後インソムニア」のアニメ化はどのように聞かされましたか? また、そのときの率直なご感想をお聞かせください。
「アニメ化するかも」と聞いてから、正式決定まで時間があったので「決まるといいな」ぐらいの感じでいました。やっと実感が湧いてきたのは脚本が来たタイミングでした。初めてアフレコを見学させて頂いて、キャラクターの声と、まだ線画でしたが動く画を見て、嬉しさが湧いてきました。完成前の作りかけの工程を見られるのも貴重な体験でした。
――アニメ化にあたって、監督やプロデューサーなどアニメ制作サイドとはどのようなお話をされましたか?
私からは一つだけ、「七尾の背景を丁寧に描いて頂けたら」とお願いした記憶があります。
取材でお世話になった七尾市の皆さんにアニメで還元できたら、と。
――完成したアニメをご覧になっての感想をお聞かせください。
本当に声が、丸太も伊咲もぴったりで。自分の作ったキャラクターが別の方達の手によって動いているのを観るのは新鮮でした。キャスト・スタッフの皆さんの作品愛をとても感じます。アニメ放送中、仕事に没頭していて時間を忘れていたことがあって。それでたまたまテレビを付けた時に、ちょうどアニメ放送時間で「本当にテレビやってる!」と改めて嬉しかったですね。
――公式サイトで以前に公開されたコメントでは「作品の舞台にしている石川県・七尾市をはじめ能登の美しい風景がカラーで見られるのも見どころ」とおっしゃっていました。実際にアニメで見た能登の風景の印象はいかがでしたか?
取材で訪れて見ていた風景が、アニメでそのまま再現されていて。特に漫画にはなかった食祭市場を上から見下ろしたシーンがあって、賑わうお祭りの風景が別の視点で見られて良かったです。
――もともと能登を作品の舞台に選ばれた理由、先生ご自身の能登への思い入れなどありましたらお聞かせください。
次回作構想中に、以前から興味のあった能登を訪れて、七尾を舞台に決めました。取材で10回かそれ以上足を運んでいますが、本当に人が優しくて。あと空が広くて、そこが良いですね、
――同じく公式サイトのコメントで丸太役の佐藤元さん、伊咲役の田村好さんに関して「お二人とも、執筆中に頭の中で鳴っていた声がそのまま再現されたようにピッタリでした」と書かれていました。そのほかのキャストの方に関しても、印象に残った方がいらっしゃったら挙げていただけますか?
漫画で描いている時は特に声のイメージはなかったのに、受川、穴水、野々さんら友人達、白丸や倉敷、そのほか全ての声優さんが、皆その「キャラクターの声」で話しているんですよね。「ああ、穴水は穴水だなあ」と不思議な感じがしました。蟹川の声優さんの元気な感じとか、灰田の声優さんの自由な感じとか、アニメでよりいいキャラになったと思いました。
ひと言だけだったのですが、アフレコでガンタのお母さんの「空見てごらん」がすごく良くて、声優さんてすごいな、と感じましたね。
――このインタビューはアニメ最終話の放送に合わせて公開される予定です。ここまでの話数で、先生からご覧になって印象に残った場面があれば挙げていただけますか?
沢山ありますが、第3話の白丸の回、良かったですね。 ラインを送って恥ずかしがってもだえている動きが面白くて。第5話の千里浜を丸太と伊咲が走るところも良かったです。やっぱりアニメなので、動きが沢山ついているところが印象に残りますね。
――「君は放課後インソムニア」を応援してくれているファンに向けてメッセージをお願いします。
アニメを観て「七尾に行ってみたい」という気持ちが高まってくれたら嬉しいですね。もともと、それが目標だったので。ちょうど7月には「七尾港まつり」があります。あの広い空一面の大きな花火をぜひ観てほしいです。自分で観た中でもあんな大きな花火は他にないです。それにラッピング列車も走っていますし。ぜひ訪れてみて欲しいです。